補綴構造設計士・歯科技工士川島 哲の世界
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「第9回PSD学術大会inさいたま」開催される

昨年11月11日(土)、さいたま副都心「ラフレさいたま」(さいたま市中央区)にて、 日本補綴構造設計士協会(Japan Prosthetic Structure Designers Association:PSD. 理事長:川島 哲氏)主催による「第9回 PSD学術大会 in さいたま」が 開催され、 約140名の参加者が集った。
3年ぶりの開催となった今回の学術大会の特徴は、歯科技工士会員を主対象とした会でありながら、3人の演者がすべてインプラント治療も日常的に数多く手がけている歯科医師であり、 欠損補綴における治療の選択肢としてインプラントの需要が急増していると言われるなかで、実はわが国における需要に大きな減少傾向は見られないパーシャルデンチャーの意義と需要の実像を、 実際の歯科医療の最前線にいる歯科医師から、歯科技工士に向けて再提言してもらおうというもの。

講演に先立ち、川島理事長は、開会の挨拶において、近年アメリカの著名インプラントロジストからも川島氏にキャストパーシャルデンチャー製作の依頼が増えているという実状や、 日本とアメリカの社会・人口構造を例に挙げたうえで、わが国の欠損補綴においては、インプラントが義歯に取って代わる可能性の低さと、 その現状と十分に理解したうえで、 各歯科技工士が義歯製作の技術を研鑽することの重要性を示唆された()。川島哲理事長挨拶、会場風景

1. 「Global Dental System」
Dr.松本勝利(福島県南会津郡・あらかい歯科医院)

広島県出身ながら、福島県内に歯科医院を開業し、毎日多くの義歯患者の診療を行われているDr.松本勝利は、 まず「力を入れてでも外そうとしても外れない」ほど吸着のよい総義歯を装着された患者の様子をビデオで供覧され、会場からは驚きの声が上がった(2)。
その後、「吸着する義歯を得るためには、義歯床辺縁の位置を、全周において“軟らかい組織の上”に設定しなければならない」「軟らかい組織の上に義歯床辺縁を設定するということは、 あるがままの形態を印象採得するということだけでなく、顎堤の骨形態を踏まえたうえで、周囲筋肉の動きにより影響を受ける組織も採得しなければならないということ」という理論に基づいて、 総義歯臨床における印象採得の重要性と、経年的に変わる咬合の姿と床縁の関係、機能解剖に基づいた総義歯製作のノウハウ(咬合と解剖を理解したうえでの、 部位による床縁の決め方および人口歯排列など)を解説された(3)。
Dr.松本、椙岡講演

 

2.「バイオミメティックデンチャー『噛む』ということ」
Dr.椙岡宣好(石川県金沢市・飯野歯科医院)

Dr.椙岡宣好は、「咬合を“科学”する」という視点から、顎運動および咬合力のメカニズムの分析による補綴物のあり方について、 多彩な資料を掲げながら述べられた。その象徴とも言える冒頭では、「2010年 歯科界はこう変わる」として、診療における5D(五次元)の導入を挙げ (この場合、4Dとは“拡大”、 すなわちマイクロスコープの導入を指し、5Dとは“立体拡大”を指す)、最近医院に導入されたばかりの立体マイクロCTによる立体映像を供覧するとともに、 これまで勘でしか行えなかった歯根膜をはじめとする微細構造の計測がもたらすこれからの歯科医療の可能性を提言された(4)。

バイオミメティックデンチャー(“バイオミメティック”は生物の生体機能を模倣・再現する技術)の臨床に取り組むとともに、 インプラント治療も日常的に数多く手がけているDr.椙岡は、強い咬合力によりインプラントが破折してしまった症例や、 動揺歯をフレームワークで保護しているキャストパーシャルデンチャーの症例なども挙げ、自身の欠損補綴治療におけるパーシャルデンチャーの位置づけと、 それを成功させるための歯科医師によるマウスプレバレーションの重要性を示された。
最後に、自身の医院における川島氏の製作によるキャストパーシャルデンチャーの111症例が次々紹介され、午前・午後にわたった講演は締めくくられた。

3. 「総合診断による欠損歯列への考え方と種々の対応」
Dr. 本多正明(大阪府東大阪市・本多歯科医院)

SJCDインターナショナル副会長(大阪SJCD最高顧問)であり、数々の審美修復治療およびその指導に携わってこられたDr. 本田正明は、 「これまでの経過や失敗例を通して見えたことを後輩たちに伝えていくのが今の自分の役割だと思っている」と前置いたうえで、自身が1980年代に行われ、 現在も修理を重ねて使われているというパーシャルデンチャーによる欠損補綴症例を挙げ、顎口腔系の健康維持における歯科治療の意味ー長期にわたる“炎症”と“力”のコントロールーと、 患者の抱える包括的問題点の洗い出しによる総合診断と治療計画の重要性を述べられた(5)。
Dr.本多正明講演

医歯薬出版株式会社「歯科技工」2007年1月号

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