●はじめに
11月20日(日)、メセナ枚方(大阪府枚方市)にて標記講演会が開催された。今回の講演会では“時代を先取りした、歯科技工士の新しいニーズに沿った企画”をキャッチフレーズとし、これに相応しい講演をしていただける演者として川島 哲先生(埼玉県川越市・ユニデント)をお招きした。
当日は主催者側の予想を遙かに上回る200名以上の来場者があったため、急遽別会場を設営してスクリーンを通して講演を聞くという措置が取られ、非常に盛大な雰囲気の中で講演が行われた。
●講演の内容
川島先生には「欠損補綴のボリュームセラーに、どう対応するか? とりわけ、キャストデンチャーの『基本設計』について」との演題で、キャストデンチャーの構造設計士や詳細な寸法について、実際の症例に基づきながら、多くのスライドも交えてわかりやすくご解説いただいた。そのほかにも、偏析や熱処理、レジンの特質などの理工学的な話題についても触れられていた。また、筆者にとって特に印象的だったのは、先生がレストの重要性を指摘されていたことだ。「レストの技工料金は高くはないかもしれませんが、欠損補綴治療のすべてがここから始まるといっても過言ではありません」とのお話は、一見当たり前のようだが普段なかなか意識することのない点であり、筆者は目の覚める思いがした。
そして、川島先生は最後に「歯科技工士はバーチャルの世界であり、どうしても実世界とのギャップが生じてしまいます。われわれ歯科技工はマスターモデルを使って技工物を製作しますが、その先には必ず患者さんの存在があります。そのことを忘れないためにも『患者さんに見える歯科技工士』になる必要があります。みなさんの“大和魂”で、新しい歯科技工学、そして新しい歯科技工士像を築いてください」聴衆に強く訴えられていた。
●おわりに
筆者はこれまで、川島先生については書き物や先輩がたの話を通して知るのみだったが、今回、ご本人から数々の素晴らしいお話を拝聴できたことはとても貴重な経験になった。また、参加前は歯科技工士免許を取得してまだ8カ月足らずの自分に川島先生のお話が理解できるだろうかとの不安もあったが、いつのまにか“Tetsu Kawashimaワールド”にぐんぐんと引き込まれ、多くのことを学ばせていただいた。
講演への参加を通じて筆者は、川島先生の熱い思いに触れ、共感し、先生のような素晴らしい歯科技工士になろうとの決意を新たにすることができた。これを機に、歯科技工を通じて社会に貢献し、また患者さんの心を理解できる歯科技工士になることを目標として、日々の臨床に励んでいきたい。
最後に、ご多忙にも関わらず講演会を企画・運営してくださった大阪府歯科技工士会北河内支部の役員の皆様がたに、心より感謝申し上げます。
「医歯薬出版KK」の「歯科技工」1月号