「健康増進法」が2003年5月1日に施行された。この法律は、従来は個人の取り組みとされてきた健康づくりなどを法律によって支援しようとする、
これまでにない異質の法律と言える。
特に、その第25条「受動喫煙の防止の条項」については、多方面からのコンプライアンスが得られ、次々と法に沿った取り組みが実践されており、
公共機関、医療機関、教育機関を中心に、最近の社会におけるたばこ煙の規制には目を見張るものがある。
しかしながら、歯科界はたばこ問題への取り組みが他業種よりかなり遅れてるとの指摘を各方面から受けてる。
歯科喫煙問題研究会(SKMK 代表・中久木一乘)では発足以来、歯科界のたばこ問題情報を収集、調査し、歯科界へ発信を続けている。
今回の調査は、国民の歯科保健の担い手である47都道府県の歯科医師会における、受動喫煙防止への取り組みを含めた無煙・分煙環境を調査することで、 各県歯に、たばこ問題への強い関心と深い理解を刺激することが第一目的だ。さらに同時に、その上部団体である日本歯科医師会に対して、 他の医療団体に比べ大幅に遅れているたばこ問題への対応を早急に行う要望することを大目的として本調査を行った。 また、「健康増進法」施行6カ月後の、03年11月の同様のアンケート調査の結果との比較検討も行われた。
04年11月に、全国47都道府県の歯科医師会へアンケート調査への協力を郵送にて依頼し、返信用郵便封筒あるいはファクシミリにて回答を回収。 単なる任意団体からの質問にも回答が容易なように、設問は建物や各種条件下の部屋の無煙・分煙状況に関することとして、 考え方や今後の予定は自由意見とした。結果の詳細は省略するが、ここでは次の3点を報告する。
都道府県の歯科医師会のある建物は、単独施設(35)と共有施設(11)の違いもあるので一概には言えないが、 敷地内が禁煙であるか否かは喫煙に対する取り組みをかなり反映したものと考えられる。今回の調査では、敷地内完全禁煙13%、完全分煙37%だった。 健康増進法の施行以来、禁煙意識の高まりは確実に進んでいるようだ。しかしながら、約半数が不十分な対応のままであり早急な対応が望まれる。 歯科医師会が行う会議や講演会は、どちらかというと建前やフォーマル的な面があるが、懇談会となるとアルコールなどで和やかな雰囲気となり、 本音や本性が現れると言える。今回の調査では、懇親会については不完全分煙や規制なしが大半だったが、11の府県では懇親会においても完全禁煙を実施していた。 これらの府県に改めて敬意を表したいと思う。 そして今後は、完全禁煙の懇親会がさらに増えてゆくものと信じている。受動喫煙の中では真の懇親は得られにくいと思われる。
表に示したように、大勢は1年の間に飛躍的に「完全禁煙」に向かっていると言える。特に建物内や事務室・会議室の完全禁煙は、 たった1年で倍増に迫る勢いだ。もはやこの勢いは誰にも止めることはできないだろう。何年か前には会議の前準備と言えば「資料と灰皿とネーム立て」だったが、 今となっては灰皿は流し台の下や戸棚の隅に追いやられ、眠り続けることだろう。
昔は、たばこは嗜好品としてコーヒーや甘い物などと同等に扱われていたが、昨今の社会では喫煙は「薬物依存症」とされ、 副流煙による「受動喫煙」の害が早急に解決すべき問題として強く叫ばれている。そのような時、歯科保健支援を行う歯科医師や歯科医師会が、 健康増進法という法律に違反しているのでは説得力に欠け、国民や患者さんの信頼が得られないことは明らかだ。 「健康増進法」施行以来の喫煙問題への理解の高まりから、19の県の歯科医師会がたばこ問題に関する事業などに取り組んでおり、 医師会、薬剤師会、看護協会などと比べてやや遅れていた歯科医師会にも、長く立ち込めていた煙を吹き飛ばす爽風がどうやら吹き始めたようだ。 今回の調査からは、全国の歯科医師会の喫煙規制が確実に進んでいることが示唆された。新生日本歯科医師会の今後のリーダーシップが大いに期待される。
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