補綴構造設計士・歯科技工士川島 哲の世界
ホーム

Vol.31
発行人:尾形 和哉
事務局:安田 栄年
編集人:杉本 雄二
新年のご挨拶 キャストパーシャルデンチャーの構造設計と口腔内の調和 年男、今年の抱負を語る CPI学術大会IN金沢
MIXI(ミクシィ)へのお誘い・・・MIXIってなに?  学校における歯・口の健康づくり 新入会員のご案内/編集後記  CPIニュースレターTOP

キャストパーシャルデンチャーの構造設計と口腔内の調和
(Harmony of the Oral Cavity)

CPI専任講師 金井 孝行

私の講演テーマが、誰でも簡単にわかる・できるキャストパーシャルをかかげています。また、もう一つのサブテーマとしてHarmony of the Oral Cavity(口腔内の調和)があります。キャストパーシャルのビギナーに向けて講演を行っています。今回は、サブテーマのHarmony(調和)の大切さを伝えたい。
 多分誰もが日常キャストパーシャルの設計(スタンダードデザイン)を行う上で何度か悩んだ事や、考え込んだ事があると思います。
 デザインの目的として口腔内に、キャストパーシャルデンチャーをセットした時に当然の事ですが、痛くない事、口腔内が狭くない事(違和感、舌感など)舌感とは、キャストパーシャルデンチャーをセットした時に患者が舌で触れ凹凸を確認する。その時の凹凸を感じると不安を感じ、なかなかキャストパーシャルデンチャーを受け入れてもらえなくなる。そこで、第1印象を良くする為のデザインである。今回、私の考えるHARMONY(ハーモニー)は、派手なデザインではなく口腔内に凹凸が少なくシンプルで強度がある事をさす。
 さて、全てのケースが下記にあてはまるとは思いませんが、一つの基準(スタンダード)として参考にしてもらえると、手が止まる事も無く少なく仕事の幅も増えると思います。
 そこで私が考える構造設計には、
*基本構造(スタンダードストラクチャー)構造とは(ものの全体を形づくっているしくみ)ワックスアップのデジタル化と考える。
*基本設計(スタンダードデザイン)設計とは(ある目的を具体化する作業)つまり私が考えるには、口腔内の情報を理解し参考にして設計を考える事。例えば、
上顎では(正中口蓋縫線、口蓋小窩、切歯乳頭、口蓋隆起、上唇小帯、頬小帯、ハミュラーノッチ、口蓋雛壁、軟、硬口蓋)など。
下顎では(顎舌骨筋線、骨隆起、舌小帯、臼後三角、下唇小帯、頬小帯)などがある。
今回は、上顎の模型で説明致します。
上顎キャストパーシャル 上顎キャストパーシャル

マスターモデルの中にキャストパーシャルデンチャーを制作する口腔内の情報がある。
基準となるラインを記入す。サベーライン、正中口蓋縫線、残遺歯肉縁線、軟、硬口蓋などを記入する。基準記入ラインの中にキッストパーシャルの外形が収まる様に設定する。また、、無変化域にはパラタルバーを設定するのに適している。
残遺歯肉縁線、レジンの維持装置を歯槽頂で止めると審美的には良いが、破折の原因となるので残遺歯肉縁線まで伸ばすと良い。審美性はピンクオペークなどで解決する事が出来る。
上顎キャストパーシャル 上顎キャストパーシャル
基本的に赤で記入した部分は、キャストパーシャル(パラタルバー)では避ける部分とし、プレートでは覆うスタンダードで設計します。
切歯乳頭、口蓋雛壁、ハミュラーノッチ、頬骨隆起、口蓋隆起この部分はお凹凸であり、敏感で痛みなどを感じやすく、またアンダーカットや骨で摩れたりなどなどいろいろな痛みの原因を起こす場所である。ただケースバイケースであるが、上顎は無変化域に骨隆起が見られるときがある。その時も、リリーフをするのではなく避けた方が正解である。鈍感な症例で設計するよりも、敏感な症例を考えて設計をした方が利にかなう。
基準ライン、凹凸の部分を避ける様に湾曲のラインをポイントに書き込む。
 フィニッシングラインは、歯槽頂を観察する事で基準を探だし仮想のフィニッシングラインを設定する。
 顎堤は歯槽頂から口蓋までおおまかに考えると3面から出来ている。
 設定は、1面と2面が交わった点をラインにすると仮想フィニッシングラインができる。
 この考え方しっかりとした顎堤があるときである。平らな顎堤では見分けがつかないので一つの参考にして欲しい。

上顎キャストパーシャル 上顎キャストパーシャル
前回で記入した湾曲ラインを対抗しているラインに約平行に湾曲ラインで結ぶ。
 対抗しているラインがお互いに寄っては駄目である。キャストをする時に金属の流れが妨げられる。また、強度にも影響をあたえ破損の原因になる可能性もある。
 誰もが簡単にスタンダードデザインができる。
 是非、困ったときの参考にして下さい。

上顎キャストパーシャル 下顎キャストパーシャル
上顎フルプレート
フルプレートやプレートタイプのキャストパーシャルはなるべく薄くする事に捕らわれ、フィニッシングラインだけでの補強を考える。しかし強度不足の変形やレジンの収縮による変形がおこる。良く言われる事ですが、試適のときは良かったのですが、完成したら落ちる様になりました。
ひとつの原因が強度不足です。
 そこで、Uの字で補強するより口の字で補強します。それが、左のX線です。
おわりに
 今、現在はインプラントが主流を占めていますが、これからの高齢化には入れ歯(キャストパーシャルデンチャー)が必要です。どちらかに片寄る事はありません。それぞれの利点、欠点があるので後は患者さんの選択です。
 そこでデンチャーに対しての問題点をいろいろ上げられますが、決して解決できない問題ではありません。例えば、審美的な点でも予算的に少し負担は増えますが、アタッチメントを使用する事で解決します。
 私は、歯科衛生士学校で18歳の女子を教えていますが、インプラントの話とデンチャーの話をします。その上で選択として二つに一つを選ぶとしたらどちらにしますかとの質問をします。すると六割?七割の学生がデンチャーを選びます。落ちとして年を取ってからの話しです。
 最後に、私の持論でデンチャーを作る歯科技工士の役割として『使ってもらえる義歯』を作りたいです。
 使ってもらえる義歯とは、口腔内に最初にセットした時に何の心配もなく(痛み、違和感、舌感、口腔内の広さなどなどその他たくさんあります)第一印象で判断して使ってやろう思える入れ歯。Harmony of the Oral Cavity(口腔内の調和)であります。
 言い換えれば、一目惚れの入れ歯(一歯惚れの入れ歯)です。
 そんな、入れ歯を作る一つの参考になれば幸いです。


Copyright UNIDENT Co.,Ltd. All rightss reserved